心理士カウンセラーのブログ
Psychological counselor Weblog
【発達特性があっても、高校生活をあきらめなくていい】
2026.08.28
「うちの子は、ほかの子と少し違うのかもしれない」
「中学校でもうまくいかなかったのに、高校へ進学して、本当に続けられるのだろうか」
「高校には行ってほしい。でも、無理をさせて、また苦しくなるのも怖い」
進路を考える時期になると、こうした不安を抱えてご相談に来られる保護者の方が少なくありません。
発達特性がある。
集団の中にいることが疲れる。
勉強についていきにくい。
朝起きることが難しい。
学校に行こうとすると身体が動かなくなる。
一つではなく、いくつもの悩みが重なっていることもあります。
そして、お子さん以上に、
「この先、この子はどうなるんだろう」
と、保護者の方が眠れないほど悩まれていることもあります。
こんにちは。
松陰高等学校 高松校・丸亀校で、生徒や保護者の皆様のご相談に関わっている心理士です。
今日は、発達特性と高校進学について、日々子どもたちと関わる中で感じていることをお話ししたいと思います。
「できない子」なのではなく、「合わない」が重なっていることがあります
発達特性があるから、高校を卒業できない。
そんなことはありません。
ただし、
「みんなと同じ時間に」
「みんなと同じ方法で」
「みんなと同じペースで」
という環境が、その子に合いにくいことはあります。

例えば、
先生の説明を聞きながらノートを取ることが難しい。
周囲の音や人の声が気になり、授業に集中できない。
一度にたくさんの指示を受けると混乱してしまう。
人が多い場所にいるだけで、とても疲れてしまう。
頭では分かっているのに、作業に時間がかかる。
こうしたことが毎日積み重なると、本人は想像以上にエネルギーを使います。
周囲から見ると、
「やればできるのに」
「もっと頑張ればいいのに」
「どうしてみんなと同じようにできないの?」
と見えることもあります。
しかし本人は、すでに十分頑張っていることがあります。
「頑張らせる」前に考えたいこと
うまくいかない状態が長く続くと、
「どうせ自分には無理」
「また失敗する」
「学校の話をされたくない」
と、自信をなくしてしまう子もいます。
この状態のときに必要なのは、さらに頑張らせることだけではありません。
まず、
「何がこの子を苦しくさせているのだろう」
と考えることです。
発達特性だけが原因とは限りません。
人間関係かもしれません。
学習のつまずきかもしれません。
集団生活そのものに疲れているのかもしれません。
起立性調節障害など、身体の状態が関係している場合もあります。
大切なのは、最初から原因を一つに決めつけないことです。
WISCも「子どもを決める検査」ではありません
松陰高等学校 高松校・丸亀校では、WISC-ⅤやWISC-Ⅳなどの検査結果をお持ちの場合、
その内容もお子さんを理解するための一つの手がかりとして活用しています。
例えば、
「言葉で説明されると理解しやすい」
「一度に多くのことを覚えておくことには負担がかかりやすい」
「作業には少し時間が必要」
といった、その子なりの得意・不得意が見えてくることがあります。
ただ、WISCの数字だけで子どもを見ることはありません。
検査結果と、実際の学校生活での様子は必ずしも同じではないからです。
大切なのは、
「この子は何ができないのか」
を探すことではなく、
「どうすれば、この子は力を出しやすいのか」
を考えることだと思っています。
高校を選ぶときに、本当に見てほしいこと
高校選びというと、
「入学できるか」
「卒業できるか」
が最初に気になると思います。
もちろん、とても大切なことです。
でも、発達特性や不登校を経験しているお子さんの場合、もう一つ考えていただきたいことがあります。
それは、
「この環境なら、3年間を続けられそうか」
ということです。
入学することがゴールではありません。
高校生活は、その先も続きます。

だからこそ、
毎朝決まった時間に登校することが難しいのであれば、どんな通い方ができるのか。
大人数が苦手なのであれば、落ち着いて過ごせる場所があるのか。
勉強につまずいているのであれば、分からないところまで戻れるのか。
人との関わりに不安があるのであれば、急いで集団に入ることを求められないか。
そうしたことまで見て、高校を選んでほしいと思います。
松陰高等学校が大切にしていること
松陰高等学校 高松校・丸亀校には、さまざまな経験をしてきた生徒が通っています。
中学校時代にほとんど登校できなかった子。
朝起きることが難しい子。
人とのコミュニケーションに強い不安を感じる子。
勉強から長く離れていた子。
発達特性について悩んできた子。
当然、一人ひとり状況は違います。
ですから、最初から全員に同じ高校生活を求めることはしていません。
登校に自信がなければ、まずは短い時間から。
人が多い場所が苦手なら、落ち着ける場所から。
勉強に自信がなければ、できるところから。
そして少し余裕が出てきたら、興味のある体験活動や学校行事に参加してみる。
参加してみて疲れたら、また少し休む。
そんなふうに、
「できる・できない」ではなく、
その子の今の状態を見ながら高校生活を組み立てていくこと
を大切にしています。
「学校に行けるようになる」だけがゴールではありません
保護者の方から、
「まずは毎日学校へ行けるようになってほしい」
というお話を伺うことがあります。
そのお気持ちは、とてもよく分かります。
ただ、私たちは、
「毎日登校できるようになること」
だけを高校生活のゴールにはしていません。
高校を卒業した後には、大学や専門学校、就職、そしてその先の人生があります。
そのときに、
「自分はこういう時に疲れやすい」
「困ったときには人に相談していい」
「自分にはこういうやり方が合っている」
ということを少しずつ理解している方が、きっと生きやすくなります。
高校3年間は、その練習をする時間でもあると考えています。
保護者の方に、一つだけお伝えしたいこと
お子さんのことで悩んでいると、
「育て方が悪かったのではないか」
「あの時、もっと違うことをしていれば」
と、ご自身を責めてしまう保護者の方がいます。
でも、過去の答え合わせを続けても、なかなか出口は見つかりません。
それよりも、
「この子は、どんな環境なら少し楽に過ごせるだろう」
「何なら、もう一度やってみようと思えるだろう」
と、これからのことを一緒に考えてみてください。
高校選びも同じです。
「普通の高校生活に戻す」
ことだけを考える必要はありません。
その子に合う高校生活を、一から作っていくという考え方もあります。
お子さんがまだ動けなくても構いません
進路相談というと、
「本人を連れて行かなければ」
と思われるかもしれません。
でも、お子さんがまだ高校の話をしたがらない。
外に出ること自体が難しい。
学校見学なんて、とても考えられない。
そんな段階のご家庭もあります。
その場合は、まず保護者の方だけで構いません。
今までどんなことがあったのか。
今、何に困っているのか。
高校について、どんなことが心配なのか。
まずはそこからお聞かせください。
その場で進学を決める必要もありません。
お話を伺った上で、今のお子さんにどんな選択肢が考えられるのか、一緒に整理していきます。
最後に
発達特性があること。
中学校で不登校になったこと。
勉強が遅れていること。
人との関わりが苦手なこと。
それだけで、その子のこれからが決まるわけではありません。
ただ、
「環境が変われば全部うまくいく」
とも、私たちは考えていません。
高校を変えても、すぐには動けないことがあります。
一歩進んで、また止まることもあります。
それでもいいのです。
大切なのは、
その子の歩幅を見ながら、
「次にできそうな一歩」を一緒に探していくことです。
高校卒業は、その先にある大切な目標の一つです。
そして私たちは、高校卒業だけではなく、
卒業した後に、
「自分なりにやっていけそうだ」
と本人が少しでも思えるようになることを大切にしています。

もし今、
「この子に合う高校が本当にあるのだろうか」
と悩んでいらっしゃるのであれば、
まだ答えを出さなくても構いません。
まずは、お話を聞かせてください。
お子さんがまだ一緒に来られなくても大丈夫です。
保護者の方だけのご相談からでもお受けしています。
WISCについて
松陰高等学校 高松校・丸亀校では、
WISC-Ⅴ・WISC-Ⅳなどの検査結果をお持ちの場合、
その内容も参考にしながら、お子さんに合った学習環境や関わり方を考えています。
WISCは、その子を数字で評価したり、発達障がいの有無だけを判断したりするためのものではありません。
「何が得意なのか」
「どんな場面で負担を感じやすいのか」
「どんな方法なら理解しやすいのか」
を考えるための手がかりの一つです。
検査結果を受け取ったものの、
「学校生活にどう活かしたらいいのか分からない」
という保護者の方からのご相談も承っています。
高校進学についてのご相談とあわせて、お気軽にお問い合わせください。
松陰高等学校 高松校・丸亀校

087-813-3781
