心理士カウンセラーのブログ
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【WISC-Ⅴ検査で自分の特性を知り、その個性を活かす高校生活の送り方】
2025.03.14
中学生時代に不登校やトラブルなど
さまざまな問題を抱えているご家庭は
高校進学の際、
「我が子にあった環境がある高校を選びたい」
と全員、口を揃えてそう言います。
では、特性を抱えた我が子にあった環境とは
いったいどういった環境なのでしょうか。
詳しくご説明しましょう。
《WISC-Ⅴ検査とは?》
まずは、WISC-Ⅴ検査について簡単にご紹介します。
WISC-Ⅴとは、
「Wechsler Intelligence Scale for Children-Fifth Edition」
の略称で、児童向けの知能検査として広く使われています。
対象は5歳0か月から16歳11か月までで、
主に知的能力の全般的なレベルや、
認知機能の偏りを把握するために実施されます。
WISC-Ⅴ検査では、複数の下位検査を通じて、
子どもの「言語理解力」や「視覚認知力」、
「ワーキングメモリ」、「処理速度」などを測定し、
その子が得意とする領域や苦手とする領域を
数値化して見える化してくれるのです。
これにより、学習面や日常生活で生じる
困難の背景をより正確に捉えられるようになります。
私達がカウンセリングの現場で感じるのは、
子どもの特性を正しく把握することで、
「今までなんとなく感じていた違和感が、実はこういう理由だったんだ」
と親子ともに納得しやすくなること。
これはお子さんの自己肯定感を保ち、
学習や生活上のサポートを適切に提供するうえで、
大変重要なステップと言えるでしょう。

《WISC-Ⅴ検査の結果で分かる5つの指標と、その意味》
WISC-Ⅴ検査では、主に以下の5つの指標を確認できます。
各指標が示す意味をざっくりと知っておくと、
お子さんの強みや苦手な面を見つけやすくなります。
【VCI(言語理解指標)】
言葉を使った思考力、語彙力、
概念理解などを測定します。
読書が好きな子や、言葉で表現することが得意な子は
高得点になりやすい傾向がありますが、
逆にここが伸びづらいと、
口頭説明や文章読解に苦手意識を持つ場合もあります。
【VSI(視空間指標)】
視覚情報をもとに空間を認識・処理する力を測定します。
図形問題やパズルなどが得意かどうかが
分かりやすいポイントといえるでしょう。
設計やデザインなど将来的に“視覚的センス”が
生きる分野で力を発揮する子もいます。
【FRI(流動推理指標)】
パターンや法則を見つけて論理的に考え、
問題解決する力を測定します。
理系分野が得意かどうか、
思考スピードの柔軟性があるかなどが見えてきます。
【WMI(ワーキングメモリ指標)】
一時的に情報を保持しつつ作業を進める力を測定します。
注意散漫になりやすい子は
WMIが低めに出やすく、
逆にここが高いと複雑な手順を
一度にこなすことが得意という特徴があります。
【PSI(処理速度指標)】
視覚刺激や単純作業をどの程度早く
正確に処理できるかを測定します。
テストの問題を解くスピードや、
プリント作業の素早さなどに関係し、
ここが低い子は「マイペースにじっくりやる」
ほうが得意だったりします。
これらの指標の組み合わせから、
「この子は言語理解が得意だけれど、処理速度が遅いな」とか、
「視覚的な情報処理は得意だけれど、ワーキングメモリが少し弱いかもしれない」などと
いったプロファイルが明らかになります。
この結果をもとに、お子さんの学び方や将来的な進路を考える
手がかりを得ることができるのです。

《なぜ特性を知ることが大切なのか》
WISC-Ⅴ検査を受ける意義は、
決して「知能の高さ・低さ」を知ることだけではありません。
むしろ私が強調したいのは、
「子どもが持つ特性や個性を客観的に理解し、
適切なサポートや環境を整えるための材料にする」という点です。
1. 得意を伸ばし、苦手をサポートする
ある子が処理速度が遅いと判明した場合、
親や教師は「なぜテストでいつも時間が足りなくなるのか」を理解できます。
すると、時間配分の工夫や、見直しの習慣を身につけるための
指導がしやすくなるわけです。
また、言語理解が高いなら作文やディスカッションで
力を発揮できるような授業選択を応援するなど、
強みを活かす学習プランが立てられます。
《自己肯定感の維持につながる》
子ども自身が「自分にはこんな得意分野がある」
「苦手なことにはこういう理由がある」と知ると、
「自分はダメなわけじゃない。やり方を工夫すればいいんだ」
という前向きな気持ちを持ちやすくなります。
特に思春期前後は自己肯定感が下がりやすい時期ですから、
客観的なデータをもとにした声掛けは、
子どもの心に大きな支えとなるでしょう。
《将来の進路選択に活用できる》
高校選びをはじめ、将来の大学や専門学校選択、
就職活動など、進路の選択肢を考えるうえでも、
自分の強みと苦手を把握していることは大きな武器になります。
特に、ここでご紹介する通信制高校では、
多様な学習スタイルや個別のサポートが整っている場合が多いので、
特性を理解したうえで自分に合ったプランを組み立てやすいのです。
《特性を活かせる学校選び:通信制高校という選択肢》
「全日制高校」と「通信制高校」のどちらを選ぶべきか
迷われる親御さんも多いと思います。
私が自身の経験も踏まえてお伝えしたいのは、
「特性がはっきりしている子ほど、通信制高校の柔軟性が活きる」
ということです。
どういうことか、いくつか理由を挙げてみます。
【通学頻度や学習ペースを自由に調整できる】
通信制高校では、在宅学習がメインのコースや、
週1~5日まで通えるコースなど、
さまざまなカリキュラムが用意されていることが多いです。
苦手な朝早い登校を強いられることがない、
あるいは処理速度が遅い場合でもじっくり進められるなど、
子どものリズムに合わせやすいのが魅力です。
【個別サポートやカウンセリングが充実している場合が多い】
私立の通信制高校などでは、
学習面だけでなくカウンセリングや進路相談にも
力を入れているところが多くあります。
特性を把握したうえで
「この子はこの教科に時間をかけよう」とか
「この場面では少人数での指導が合っている」
といったアレンジがしやすいのです。
【多様な個性を持つ仲間がいる】
通信制高校にはいろいろな理由で通う子どもたちが集まります。
部活や行事が活発なところもありますし、
オンライン授業を主体とするところもあります。
多様な個性がお互いを認め合いやすい雰囲気を醸成するので、
人間関係で疲れやすい子や、
特性を理解し合える友人がほしい子にとっても心強い環境となり得ます。

《通信制高校でこそ輝く!実際の学びのスタイル》
私自身も通信制高校に在籍しながら活動していますが、
実際にどんなスタイルで学べるのでしょうか。
一般的には、以下のような形が多いと言えます。
【レポート提出やネット教材を使った在宅学習】
期限までにレポートを作成して提出し、
単位認定試験を受けるスタイル。自分のペースで進められるため、
集中力にムラがある子や、
休みながら学習したい子にはメリットが大きいです。
【週数回のスクーリング(通学日)】
必要最低限だけ登校する学校から、
週4日・5日通える学校までさまざま。
先生との対面指導や友達との交流を大切にしたい場合、
通学頻度が多いコースを選ぶことも可能です。
【オンラインスクーリングや映像授業の活用】
自宅にいながらオンラインで
授業を受けられるシステムを導入している学校も増えています。
PCやタブレットを使って課題を提出したり、
先生にチャットで質問したりすることで、
ITスキルや自己管理能力も自然に身につきます。
これらの柔軟な学びの仕組みがあるおかげで、
「処理速度が遅いから、テスト時間や提出期限に追われるのがしんどい」
と感じていた子でも、
余裕をもって自分のペースを確立しやすくなります。
逆に、「視覚的に情報を捉えるのが得意だから映像教材
で一気に学んだほうが頭に入りやすい」など、
特性を活かせる教材選びができる点も大きな魅力です。
《通信制高校を選ぶ際にチェックしたいポイント》
通信制高校と一口に言っても、
実は学校によってカリキュラムやサポート体制は大きく異なります。
お子さんの特性に合わせて選ぶ際、
以下のようなポイントをチェックしてみましょう。
【スクーリング頻度とスタイル】
・週1回程度の登校で良いのか
・オンライン中心か対面中心か
・遠方から通学しやすい場所にあるか
【教員やカウンセラーのサポート体制】
・学習支援や個別指導がどの程度充実しているか
・カウンセラーや特別支援の専門スタッフが常駐しているか
・進路相談や就職サポートの実績はどうか
【学費や奨学金制度】
・公立の通信制か私立の通信制か
・就学支援金など、経済的なサポートを受けられる仕組みはあるか
【学校の雰囲気や生徒の多様性】
・説明会や体験入学で先生や生徒の様子を確認
・お子さんが「ここなら自分を出せそう」と感じられるか
たとえ同じ通信制でも、
少人数でじっくり学ぶスタイルに特化した学校もあれば、
部活や行事が盛んで全日制に近い感覚で通える学校もあるのです。
焦らず、複数の学校を比較しながら、
お子さんが「ここでなら自分の力を伸ばせそう」
と思える環境を選ぶことが大切だと感じています。
《WISC-Ⅴ検査を受けるにはどうしたらいい?》
さて、実際にWISC-Ⅴ検査を受けたい場合、
どこで受ければいいのでしょうか。
主な方法としては、
児童相談所や子ども・発達センター
公的機関で検査を実施している場合があります。
地域によっては予約待ちが長いこともありますが、
費用が安価で抑えられるメリットがあります。
発達クリニックや心療内科、精神科などの医療機関
発達障害の可能性を考えて専門医を受診する際、
WISC-Ⅴが行われることがあります。
医療保険が適用されるケースもあるので、
事前に確認してみると良いでしょう。
【民間の心理相談室やカウンセリングルーム】
臨床心理士や公認心理師が在籍するカウンセリングルームでも、
WISC-Ⅴ検査を提供しているところがあります。
費用は自己負担になりますが、
比較的スムーズに予約を取れる場合が多いです。
なお、WISC-Ⅴ検査だけで
子どもの特性が全てわかるわけではありません。
あくまで“今”の認知の状態や得意・苦手の傾向を
測定する指標です。
そのため、検査後のフォローアップや、
結果を踏まえてどのような環境を整えるかが最も大切です。
もし進路に活かしたい場合は、
検査結果をもとに学校やスクールカウンセラーと
相談してみるのも良いでしょう。
《実際の親子事例:特性を知ってから見えた明るい未来》
ここで、私がカウンセリングを通じて出会った
親子のエピソードを一つご紹介します
(プライバシー保護のため、内容は一部変更しています)。

◎Aくん(中学3年生)
成績はそこそこ良いが、提出物や宿題の抜け漏れが多く、
担任から何度も指摘を受ける。
テストは理解度が高い教科と極端に低い教科があり、
波が激しい。
親子関係は悪くないが、進路について聞くと
「どうせどこ行っても同じだろ」とふてくされがち。
そこで、保護者の方が相談に来てくださり、
AくんにWISC-Ⅴ検査を受けてもらいました。
結果は「言語理解指標(VCI)が高い一方、
ワーキングメモリ指標(WMI)と処理速度指標(PSI)がかなり低め」
という結果でした。
要するに「頭の中で考える力は優れているけれど、
情報を同時に扱ったり、素早く作業を進めたりするのが大の苦手」
という特性がわかったのです。
この結果をもとに、Aくん自身も
「だから宿題をよく忘れるし、時間内にテスト全部解き切れないんだ」と納得。
そのうえで、通信制高校のオープンキャンパスをいくつか回ったところ、
「週3日通学で、レポート提出期限が余裕を持って設定されている学校」
をとても気に入り、進学を決めました。
現在はオンライン教材を活用しつつ、
通学日は先生や仲間とわいわい勉強するスタイルが合っているようで、
Aくんは「自分のペースでできるって最高!」
と笑顔で高校生活を送っています。
WISC-Ⅴ検査で「自分の特性」を知ることは、
お子さんにとってはもちろん、
親御さんにとっても大きな気づきを得るきっかけになります。
得意分野をどう伸ばし、
苦手分野をどうカバーするか。
通信制高校などの柔軟な学習環境を選ぶことで、
特性をマイナスではなくプラスに転じる可能性が大きく広がるのです。
「勉強が苦手」ではなく、
「この分野は苦手だけど、別の分野で伸びしろがある」
「集団生活がしんどい」ではなく、
「少人数・オンラインなら力を発揮できる」
「いつも遅刻しがち」ではなく、
「夕方からのコースなら調子がいい」
このように、お子さんが困難を抱えがちな場面を少しずつ減らし、
伸び伸びと学べる環境を用意してあげることで、
高校生活を前向きに楽しみながら成長していく姿を目にできるでしょう。
我々は、通信制高校という場が「特性を持つ子」の可能性を広げる
素晴らしい選択肢だと確信しています。
もし進路選択にお悩みの方は、
ぜひWISC-Ⅴ検査の活用も視野に入れながら、
お子さんに合った学びの場を探してみてください。
きっと、新しい扉が開かれるはずです。
《最後に…》
松陰高等学校 高松校・丸亀校では
WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査や
WISC-Ⅳ(ウィスク4)検査の結果を元に
お子さんにとっての
ベストな教育環境や指導方針を組み立てています。
また、ご希望の方は、松陰高等学校 高松校・丸亀校でも
WISC-Ⅳ(ウィスク4)検査を実施しています。
どんな子どもでも
さまざまな特性があります。
その特性は
子どもを苦しめるだけではなく
使い方を変えれば
大きな武器になるのです。
WISC-Ⅳ(ウィスク4)検査をもっと活かしたい方は
いつでもお気軽にご連絡ください。
お待ちしております。
また、WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査や
WISC-Ⅳ(ウィスク4)検査を
ご自身でとれるようになりたい先生は
WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査のとり方や
WISC-Ⅳ(ウィスク4)検査のとり方も
お教えしています。
その場合もお気軽にお問い合せください。
では。。。
松陰高等学校 高松校・丸亀校
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