心理士カウンセラーのブログ
Psychological counselor Weblog
【HSCの子どもこそ、私立の通信制高校に進学した方が良い理由とは…】
2025.02.01
HSCという言葉をご存知でしょうか。
HSCは「Highly Sensitive Child」の略称で、
日本語では「とても敏感な子」「ひといちばい敏感な子」
と訳されることがあります。
HSCの特性を持つ子どもは、
以下のような特徴が見られやすいとされています。
・五感や感覚刺激に対して非常に敏感である
・周囲の雰囲気や他人の感情に影響されやすい
・集団での活動よりも、一人で落ち着いて過ごす時間を好む場合が多い
・ちょっとしたことで深く傷ついたり、不安を感じやすい
・集団内で自分の意思を伝えることを苦手とすることが多い
もちろん、HSCの特性の出方には個人差があります。
「わが子はHSCにあたるのか」
と断定する必要は必ずしもありません。
しかし、お子さんが
「刺激を受けやすい」
「環境変化に極度に弱い」
「集団生活で強いストレスを感じる」
などの傾向をお持ちなら、
一度HSCの特性を踏まえた対応を
検討していただく価値は大いにあるはずです。
ここでは、HSCの子どもの特性と
そしていずれやってくる高校進学について
詳しく説明いたします。

《HSCの子どもが抱えやすいストレスとそのリスク》
HSCの子は、一般的に「ストレス耐性が低い」と言われています。
これは決して「弱い」わけではなく、
敏感さゆえに外部刺激をより強く受け止め、
処理するために多くのエネルギーを消耗してしまうからです。
この「敏感さ」は、芸術的な感性が豊かだったり、
他人の気持ちに寄り添いやすかったりといった
長所にもつながります。
しかしながら、その強い感受性の裏側で、
以下のようなデメリットやリスクを抱えることがあります。
①集団生活での圧迫感
「みんなと同じようにしなければ」という集団の空気を深く感じ取り、
自分を抑えこもうとするあまり疲弊しやすい。
②過度の緊張や不安
テストや人前での発表、クラス内での人間関係のトラブルなど、
些細なことでも強いプレッシャーを受け取り、不安が高まりがち。
③自己肯定感の低下
「自分は人より疲れやすい」「学校に行けない自分はダメだ」と感じ、
どんどん自信を失ってしまう恐れがある。
④体調不良の誘発
精神的な疲れが身体症状(頭痛、腹痛、吐き気など)
として出ることも多く、登校拒否につながるケースも。
このように、HSCの子どもは一般的な環境やペースに合わせるだけで
相当なストレスがかかりやすい傾向にあります。
中学校時代になかなか通えなかったケースも、
これらの要因が複合的に重なってしまった可能性が高いのです。

《中学校時代に感じた“悔しさ”をどう捉えるか》
「中学時代に行けなかった分を高校で取り戻したい」という気持ちは、
親御さんとしても尊重したいものです。
お子さん自身の内面には、
「友達と過ごす青春を失ってしまった」
「行事にも参加できずに終わってしまった」
という
悔しい思いが強く残っていることでしょう。
しかし、ここで気をつけたいのは
「取り戻す」という意識が強すぎると、
却ってプレッシャーとなり、
HSCの特性を持つお子さんのストレスを
増幅させるリスクがあるということです。
HSCにとって最大の大敵は“過度の緊張”や“無理な頑張り”です。
中学校時代に感じた悔しさや負い目をバネに頑張る姿勢は素晴らしい半面、
思い通りにいかないときの挫折感や自己否定感が深刻化しやすい面があります。
「高校生活こそは最高に楽しみたい!」という目標は大事ですが、
そのためにも
「自分の特性に合った環境を選ぶこと」が最優先なのです。
HSCはもともと感性豊かで、繊細な心を持つ子たちです。
そこをうまく生かせる場所、
無理なく過ごせる環境を用意してあげることこそ、
親としての一番のサポートではないでしょうか。

《公立高校が必ずしも安心とは限らない理由》
中学校を卒業後、多くの子が進学先として考えるのは
地元の公立高校かもしれません。
ですが、HSCという特性をふまえると、
以下のような点で公立高校が必ずしも安心とは限りません。
①環境や制度が画一的
一クラスあたりの生徒数が多く、一人ひとりへの個別配慮が行き届きづらい。
クラス替えもあるし、学校行事、部活など、集団行動が基本となる。
②カリキュラムやスケジュールが固定
授業時間、ペース、提出物、テスト日程などがほぼ全員一律。
HSCの子が体調やメンタルの波で休みがちになると、取り戻すのが容易ではない。
③特別支援的な配慮は限定的
公立高校にもスクールカウンセラーや相談室はありますが、
常駐ではないケースや時間が限られることが多く、細やかな支援が受けにくい。
④「みんなと同じ」に埋もれてしまいやすい
集団生活では“人と同じであること”が評価されがち。
感性が豊かでマイペースに取り組むことが得意なHSCの子は
周囲から浮きやすく、それを避けるために無理を重ねがち。
もちろん、全ての公立高校がその子に合わないわけではありません。
ただし「HSCの特性に対して、学校全体がどの程度理解を示し、
サポートを提供してくれるか」は事前に
しっかり情報収集する必要があります。
公立高校のオープンスクールや説明会などでは、
なかなかこうした点までは踏み込んで紹介されないことも多いので要注意です。
《私立の通信制高校の仕組みと特長》
近年では、私立の通信制高校が多様な学習スタイルを提供し、
注目を集めています。
通信制高校というと
「自宅学習が中心」
「スクーリングだけ月に数回通う」
というイメージを持たれがちですが、
私立の場合はさらに細かいコース設定や
学習サポートが用意されていることが多いのです。
具体的には、以下のような特徴があります。
①通学頻度を自由に選べるコース
週1回、2回、3回、もしくは週5で登校とするなど、
子どもが通いやすいペースを選べるところが多い。
②カウンセリングや個別指導が充実
常駐のカウンセラーやメンタルサポートスタッフがいる学校もあり、
HSCの子にとって安心して相談できる体制が整いやすい。
③少人数・個別最適化の指導
レポートやオンライン授業、対面授業などを組み合わせながら、
一人ひとりの学習進度に合わせて無理なく進められる。
④自由度の高いスクーリング形態
スクーリングをオンラインで一部実施している学校もあり、
登校が難しいときでもリモートでフォローを受けられる。
⑤特別活動や行事の選択参加
イベントや学校行事などに強制参加ではなく、
あくまで「参加したい人が参加する」という柔軟なスタンスをとる
私立通信制高校も増えている。
HSCの子にとって重要なのは
「必要以上に刺激やストレスを受けすぎず、自分のペースで学習を進められる」
ことです。
私立の通信制高校ならではの柔軟さは、
非常に大きなメリットとなるでしょう。

《私立の通信制高校をおすすめする5つのポイント》
では、具体的にどのような点が
「おすすめ」と言えるのでしょうか。
以下の5つを挙げたいと思います。
①刺激をコントロールしやすい
通学頻度を選べるため、
自身の体調やメンタルコンディションに合わせて調整できる。
無理に毎日通わなくても良いという安心感がある。
②メンタル面のサポートが手厚い
カウンセリングや、HSCの特性を理解したスタッフが常駐しているところも多く、
困ったときにすぐに助けを求めやすい。
③学力面への不安にも対応
中学時代に授業を休みがちだったとしても、
レポートや個別指導などを通じて基礎学力を少しずつ補うことが可能。
わからない部分があれば、その都度先生に質問できる体制が整っている。
④多様な仲間との出会い
通信制高校には、さまざまな背景や個性を持つ生徒が集まっている。
互いに理解し合い、助け合う風土が醸成されやすく、
むしろHSCの子が居場所を見つけやすい。
⑤将来の進路を見据えやすい
通信制高校と一言で言っても、
大学進学を目指すコースや専門学校への連携コースなど、
多彩な進路サポートが準備されている。
また、時間にゆとりができる分、自分の好きなことに打ち込んだり、
アルバイトや趣味を通じて自己肯定感を養うチャンスが増える。
《学費というデメリットは本当にデメリットだけか?》
私立の通信制高校は、公立の全日制高校や公立の通信制高校と比べて
学費が高くなる点は事実です。
とはいえ、それは「手厚いサポート体制」と
「柔軟な学習環境」を提供しているからこその
対価と捉えることもできます。
特にHSCの特性があるお子さんの場合、
途中で心折れてしまい、
結局は不登校や退学へつながってしまうリスク
学校に行けず留年が続き、
時間だけが費やされていくリスク
を考慮することが重要です。
学費は確かに大きな出費かもしれませんが、
結果として「スムーズに卒業資格を得て、
その後の進路にもつなげられる」ほうが、
長い目で見ればコストパフォーマンスが高い場合もあるのです。
また、私立の通信制高校でも、
国や自治体の奨学金・就学支援金制度を利用できるケースがあります。
条件や支給額は各家庭の所得状況によって異なりますが、
思っていたより費用を抑えられる例もあります。
学費面で躊躇する際には、
まずは学校に直接問い合わせてみることをおすすめします。
《実際の事例:HSCの生徒が私立の通信制高校で得られたもの》
事例A:中学時代ほとんど休みがちだったRさんの場合
Rさんは授業中の声や周囲の物音、
クラスメイトとの関係に強い不安を感じ、
中学3年間でほとんど登校できませんでした。
高校では公立へ行きたいと最初は思っていましたが、
見学の際に大勢の生徒が動き回る雰囲気に圧倒され、
登校継続のイメージが湧かずに断念。
代わりに見学した私立通信制高校では、
個別に区切られたスペースがあり、
少人数で授業を受けられるコースを体験できたことで
「これなら通えそう」と安心。
週2日通学コースを選択し、
オンラインでの学習も併用しながら基礎から学力を立て直し、
今では週5日に増やせるほど元気を取り戻しています。
事例B:HSC+発達障害グレーゾーンのSくんの場合
Sくんは音や光に敏感で、
特定の教科に対する苦手意識も強く、
中学時代は保健室登校が中心でした。
普通の公立高校ではクラス替えや授業進度についていけるか自信がなく、
選んだのが私立通信制の「オーダーメイド」コース。
最初は在宅での無理のない学習がメインでしたが、
慣れてきた段階で先生と相談しながら
週1からスクーリングをスタート。
学校側が指導計画やスケジュール調整を柔軟にしてくれたため、
焦りや挫折を感じることなく学習を進められ、
高校卒業への見通しが持てるようになりました。
《進学先を選ぶ際のチェックリスト》

HSCを持つお子さんの進路を考えるうえで、
以下の項目をチェックしてみましょう。
①カウンセリング体制
常駐のカウンセラーはいるか?
相談できる時間や曜日はどのくらい確保されているか?
②学習サポートの柔軟さ
レポートやテスト対策の個別指導はあるか?
学び直し(中学の基礎から)の体制が整っているか?
③通学頻度のコース選択
週1日、2日など複数の通学プランを用意しているか?
体調が悪いときにオンライン授業などの代替はあるか?
④環境の快適さ
スクーリング施設は大人数の教室か、少人数制の教室か?
照明や音、空調などの感覚刺激に配慮があるか?
⑤費用面や補助制度
学費の内訳はどうなっているか?
就学支援金など、どの程度利用可能か?
⑥進路指導の実績
大学進学や専門学校への進学率は?
就職サポートは充実しているか?
このように、複数の観点から比較・検討することで、
お子さんがより安心して通える私立通信制高校を見つけやすくなります。
《HSCの特性に合わせた学び方が最優先》

HSC(Highly Sensitive Child)のお子さんは、
中学校時代に十分に通学できなかった悔しさを抱えながらも、
それをバネに「高校ではもっと輝きたい!」
と願うことが多いものです。
その思い自体は素晴らしく、
親御さんとして応援してあげたいところ。
しかし、HSC特有の敏感さやストレス耐性の低さを踏まえずに、
人が多く競争的な公立高校へ飛び込むと、
再び辛い思いをするかもしれません。
私立の通信制高校は、
学費という面でデメリットはあるものの、
・通学頻度の選択肢が多い
・きめ細かな学習サポートやカウンセリング体制がある
・HSCの特性を理解し、無理なく卒業を目指せる
といった面で、HSCの子にとっては
大きな安心材料となります。
学力面に不安があっても、
個々のレベルに合わせた指導を受けられる環境を整えている
学校が増えているのも事実です。
「悔しさ」をエネルギーに変えることは大切ですが、
その際に最も重要なことは「本人の特性を理解し、
それに合った環境で伸び伸びと学べるようにする」ことです。
周りとの競争や集団行動を重視する公立高校か、
サポートが充実し個別対応が可能な私立通信制高校か…
どちらが本当に子どもに合っているのかを、
ぜひ親御さんと一緒に検討していただければと思います。
どうか大事なお子さんの心を壊してしまうような無理な挑戦ではなく、
心の健康と学びの両方を大切にできる進路を選んでください。
HSCの特性を理解し配慮してくれる環境こそが、
お子さんの本当の力を引き出し、
中学時代には味わえなかった充実感と達成感を
得るための最良の選択肢となるはずです。
《最後に…》
松陰高等学校 高松校・丸亀校では
WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査や
WISC-Ⅳ(ウィスク4)検査の結果を元に
お子さんにとっての
ベストな教育環境や指導方針を組み立てています。
また、ご希望の方は、松陰高等学校 高松校・丸亀校でも
WISC-Ⅳ(ウィスク4)検査を実施しています。
どんな子どもでも
さまざまな特性があります。
その特性は
子どもを苦しめるだけではなく
使い方を変えれば
大きな武器になるのです。
WISC-Ⅳ(ウィスク4)検査をもっと活かしたい方は
いつでもお気軽にご連絡ください。
お待ちしております。
また、WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査や
WISC-Ⅳ(ウィスク4)検査を
ご自身でとれるようになりたい先生は
WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査のとり方や
WISC-Ⅳ(ウィスク4)検査のとり方も
お教えしています。
その場合もお気軽にお問い合せください。
では。。。
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